交通事故にあってしまった時、被害者は加害者に対して様々な交通事故の損害金を支払う事になりますが、慰謝料は数ある損害金の中の一つです。
ここでは、慰謝料に関する相場、計算方法や弁護士基準における金額の違いについて、まとめていきます。また、当院の相談に多い「交通事故が原因のむち打ち症状」についての慰謝料について、詳しく解説していきます。
交通事故が原因によるむち打ちも慰謝料が取れるの?
むち打ちの症状は、正式には「頚椎捻挫」、「頚椎挫傷」、「外部性頚部症候群」と呼びますが、
- 頚部痛や頭痛やしびれ
- 上肢のしびれ
- めまいや耳鳴り、難聴
- 吐き気や嘔吐
など、様々な症状が出る事がありますが、慰謝料を請求する事は可能です。
慰謝料の種類や相場、計算方法については、後ほど詳しく解説をしていきますが、
- 後遺症慰謝料
- 傷害慰謝料
の2種類の請求が出来る可能性があり、後遺障害等級に応じて金額が決められるのに対して、傷害慰謝料は入院や通院の日数に応じて金額が決められる事になります。
むち打ちで多くの慰謝料を請求するには
慰謝料を少しでも多く請求するためにはどうすれば良いのか?を考えた場合、肝心なのが「傷害慰謝料を取れるか」になります。
先程の通り、傷害慰謝料は入院もしくは通院する必要がありますが、交通事故後むち打ちの症状が出るまで自覚症状が出ない事も多く、ずいぶん後になってから病院に受診しても、交通事故との因果関係を証明できない場合もあり、その時は傷害慰謝料を請求できない事もあります。
入院と通院の期間は大事!
そのため、交通事故後は後遺障害の認定を事もあるので、交通事故との因果関係を証明するためにも、直ちに病院に診断してもらうようにした方が良いでしょう。
また、入院や通院が長ければ長いほど慰謝料を高く請求する事が可能になりますが、病院から「完治した、症状固定した」という診断が出るまで通院し続ける事が出来るかが、少しでも多くの慰謝料請求をするためには必要になります。
入院と通院の頻度も大事!
さらに、通院頻度についても、ある程度必要になってきて、例えばリハビリをする事になっても、通院期間は半年と長いのに、その間に通院した回数は数回・・では信憑性を疑われてしまいますので、週に2~3回程度通い続ける事も必要になるでしょう。
保険会社から治療費の打ち切りがあってもやめない事!
さらに、治療が3ヶ月~6ヶ月ほどと長期間に渡ってきた場合は、相当の治療費は支払ったとして保険会社から治療費打ち切りの連絡が来る事がありますが、その場合でも通院をやめずに続ける事が必要です。
先程にも書いたように、通院の目的は「完治した、症状固定した」という状態に至る事です、そのため治療しているので治療費を少しでも抑えたい保険会社に乗せられて、中途半端な治療で終わるのは本末転倒です。
慰謝料は、正当な治療に対して支払いされるものですから、しっかりと完治を目指して通院し続けるようにしましょう。
ここまで、むち打ちに関しての慰謝料請求についてまとめてきましたが、この先はもう少し詳しく慰謝料の相場や計算方法について触れていきます。
交通事故の慰謝料について
交通事故の慰謝料に関してですが、
- 死亡慰謝料
- 後遺症慰謝料
- 傷害慰謝料
の3つに主に分けられています。
慰謝料は、
「精神的な苦痛を被った事に対する損害金」
と言われています。
それぞれの慰謝料の相場は、過去の判例などからある程度決められており、1つ目の死亡慰謝料に関しては、
- 被害者が一家の主の場合は、2,800万円
- 被害者が母親や配偶者の場合は、2,500万円
- 被害者がその他の場合は、2,000万円~2,500万円
となっていますが、それぞれの家庭の立場によって金額も変動します。
次に、後遺症慰謝料についてですが、それぞれの等級によって金額に相違があり、
1級 | 2,800万円 |
2級 | 2,370万円 |
3級 | 1,990万円 |
4級 | 1,670万円 |
5級 | 1,400万円 |
6級 | 1,180万円 |
7級 | 1,000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
となっています。
次に、傷害慰謝料ですが入通院慰謝料とも呼ばれていて、交通事故が原因で怪我をした事で入院や通院をする事になった場合に、この精神的、肉体的な苦痛に対して支払う慰謝料の事を言います。
慰謝料の計算は、入院日数や通院日数に応じて計算する一覧表がありますので、あらかじめ決まっています。
慰謝料の相場に違いがでる3つのケース
続いて、慰謝料の相場は先程の3つに挙げた通り、あらかじめ決まった金額ではありますが、大きく変動する要因が以下の3つの場合にあります。
被害者の精神的な苦痛がより大きい場合
例えば、加害者の無免許、飲酒、スピード違反、赤信号の無視など、あまりに悪質な運転が原因の場合は、金額にも反映する可能性が高いです。
また、ひき逃げだったり、加害者側に反省の弁が見られない、暴言を吐くなどがあった場合も、精神的な苦痛になる可能性とされる場合があります。
被害者側に特別な事情がある場合
例えば、芸能活動をしている女優さんが顔に傷をおい、活動に支障が出ているもしくは引退を余儀なくされた、プロスポーツ選手など将来有望な方が交通事故が原因で仕事に支障が出たり、続けられない場合には、特別な事情ありと判断される可能性があります。
その他で損害賠償の項目を補完できるような場合
後遺障害等級が認定されているけど、後遺症逸失利益の算定が出来ない場合や後遺障害等級が認められず労働に影響が出ている場合など、特別に補完する事情がある場合に判断される可能性があります。
それぞれの事情による慰謝料への加算は、被害者側から主張しなければ裁判では相場の慰謝料認定のみになってしまいますので、弁護士へ相談する場合は、慰謝料の増額が可能かどうかの判断も合わせて行えるように、しっかりと相談するためにも、信頼のおける交通事故に精通した弁護士へ相談するのが望ましいです。
当院では、顧問弁護士と業務提携をしているだけでなく、スタッフも交通事故に関する知識を共有し、日々研鑽を積んでいます、またむち打ち症状に対しても、しっかりとカウンセリングから症状に対するアプローチをお伝えした上で、施術に入りますので、ご相談頂ければと思います。
交通事故による慰謝料計算の基準
続いて、慰謝料計算の基準ですが、
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
の3つの基準があり、それぞれ計算方法が違います。
自賠責基準における入通院慰謝料の計算
自賠責基準では、
- 治療期間
- 実通院日数×2
どちらか少ない方の日数×4,200円
を入通院慰謝料として請求が可能です。
当院の例を挙げてお話をすると、治療費や慰謝料や休業損害などを含めた損害の総額が自賠責の補償枠(120万円)以内に収まる場合は、自賠法に基づく計算式に従って慰謝料が決まります。
保険会社からは、どの医療機関にかかるかによって慰謝料が変わるとお聞きされているかも知れませんが、病院や整骨院・接骨院は国が認めた医療機関ですので自賠責保険が使えます。
ですので、整形外科などに通院した場合と同じく、わかば鍼灸整骨院への通院日数も慰謝料の計算に反映されます。
鍼灸院・整体院・あん摩マッサージ院への通院とは次のように違いがあります。
▼病院・整骨院・接骨院
(実治療日数×2倍)×4,200円
▼鍼灸院・整体院・あん摩マッサージ院
実治療日数×4,200円
どちらも、入通院全て含めた総治療期間×4,200円と比べて少ないほうが通院慰謝料になります。
ご注意いただきたいのは、整骨院や接骨院で治療の一環として鍼治療を行うことがありますが、その場合は整骨院の基準となりますので、(通院日数×2倍)での計算になり、整骨院以外で鍼治療を受けるよりも有利と言えます。
任意保険基準による計算
次に任意保険基準についてですが、任意保険は各保険会社によって独自に金額の設定をしているので、一律で金額は出ませんが、「旧任意保険基準」によると、
- むち打ちで3ヶ月の入通院した場合の慰謝料は、約378,000円(実通院日数30日)
- むち打ちで6ヶ月の入通院した場合の慰謝料は、約643,000円(実通院日数50日)
となっていました。
弁護士基準による計算
弁護士基準では、入通院の機関に基づき、「赤い本」に掲載されている表をもとに算定しますが、むちうちの場合は別表Ⅱを用いて計算する事になり、
- むち打ちで3ヶ月の入通院した場合の慰謝料は、53万円(実通院日数30日)
- むち打ちで6ヶ月の入通院した場合の慰謝料は、89万円(実通院日数50日)
となっていますので、先程の任意保険基準よりも高い金額で計算される事になっていますが、弁護士費用なども加味した上で、どの方法が適切なのかも、検討するようにした方が良いかと思います。
交通事故に関するQ&A
最後に、交通事故の治療に関して、最低限押さえておきたい知識をQ&A形式でまとめましたので、参考にして頂ければと思います。
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)とは、公道を走るすべての自動車やバイク(原付含む)に加入が義務づけられており、一般に「強制保険」と呼ばれています。交通事故の被害者が、泣き寝入りすることなく最低限の補償を受けられるよう、被害者救済を目的に国が始めた保険制度です。
被害者の保護を目的としているので、本来は保険の契約者である加害者が保険金の請求を行うのですが、被害者も自賠責保険に対して請求できます。被害者が請求を行う場合は保険金の請求ではなく損害賠償の請求と呼ばれますが、被害者にとっては同じ金額が補償されます。
勝手に病院を変更すると治療が済んだ(治った)とみなされて、それ以降の通院は慰謝料の計算に必要な通院日数としてカウントされなくなるという噂がありますが、わかば鍼灸整骨院にご相談いただいて転院手続きをすれば、そのようなことは起こりません。病院を変更して慰謝料が認められなくなるのは、変更したからではなく、通院日数が少なかった場合です。
交通事故でもっとも多いのはムチウチですが、週3回以上の通院実績があれば慰謝料の計算対象として認められないことはまずないと思います。事故の被害に遭ったからには、きちんと治療費や慰謝料を受け取らないと被害者は損をします。仕事との兼ね合いがあって毎日の通院が難しい場合は、わかば鍼灸整骨院のように交通事故治療に詳しい整骨院での治療がお勧めです。